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ロボット業界の「アップル」と言われたある"日本企業"

ロボット業界の「アップル」と言われたある"日本企業"

By ティーカ・ティワリ

その何の変哲もない工場は、はた目には、世界中にある何千という工場と変わらないように見える。

 

だが、東京から3時間、富士山の麓の森のなかには、2体の神道像に守られて、信じられないほどのパワフルな秘密が隠されていた。

 

「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、この500億ドル(約5兆円)の建物を、実際に「日本という企業の最高機密」だと断言している。

 

この会社の秘匿性は、完全に意図的なものだ。

 

たとえば、そのメインの建屋に一歩足を踏み入れれば、こんな光景を目にするだろう。

  • 従業員はほぼ無給。それにも関わらず、工場は1日24時間、週に7日操業している。
     

  • 内部の状態は厳しい。空調や暖房はオフのまま。暑くても寒くても点けられることはない。
     

  • 時計は正常な時間より10倍速く進ませている。スピードの重要性をスタッフに再認識させるためだ。
     

  • ときには、CEOであっても節約のためにすべての照明を消灯する。ある役員は、役員であっても門前払いされると告白している。

こうした状況にも関わらず、スタッフは全員、黄色のユニフォームに身を包み、従順に腰を据えて、与えられた職務をこなしている。何時間も何時間も。来る日も来る日も。

 

コーヒーブレークなどはない。トイレ休憩もなければ、タバコを吸いにいく時間も設けられていない。

 

中に入ってみると、何の変哲もない工場だと分かる。

 

連続する組み立てラインで構成され、ワークステーションとワークステーションの間には金属製のローラーが配置されている。

 

製品は溶接機から塗装工、そして組み立てラインへとスライド式に送られ、最後にアライメントと品質管理の試験がおこなわれたのち、完成した製品は出荷準備が施される。

 

すべてが統制のとれた軍隊の精度で進められている。

 

だが、誰もが不気味なほど静かなことに気づくだろう。

 

ある訪問者は、「話し声もくしゃみも、咳も、笑い声もまったく聞こえない」と語った。

 

このように風変わりであるにも関わらず、この企業は驚くべき業績を成し遂げているのだ。従業員1人あたりの稼ぎ高が、業界屈指の投資銀行であるゴールドマン・サックスよりも25%以上も多いのだ。

 

この自慢話を実現できている要因は、直接的には、24時間休むことのないこの工場のシフトが、一度に30日間ノンストップでおこなわれることが多いという事実にある。

 

どうしたらこのようなことが可能なのだろう?

 

これを実現しているのは驚くべき新技術なのだ。

 

つまり、これらのシフトを監督している少数のグループを除けば、従業員がいないのである。

 

黄色の制服に身を包み、すべての作業をこなす「人々」というのは、信じられないほど精緻で相互に接続されたマシンなのだ。

 

だが、考え違いをしてはいけない。この技術は単なる自律型ロボットの工場よりもはるかに複雑なのだ。

 

そして、急激にアメリカ全土に進出しつつある。

 

私たちはつねに、このような業界に大混乱を巻き起こす技術を模索している。私が「「未来都市」時代のハイテク投資」で指摘したように、この技術は将来、最大レベルの利益を上げる好機を提供することになるだろう。

 

私は今、このスペシャルレポートのなかで、この領域で明らかにぶっちぎりの勝者になる1つの企業を紹介しようと思う。

 

この企業は、ロボティクスの分野で最大のブレイクスルーになる可能性を秘めた技術を保有している。

 

ここでみなさんに警告しておこう。気の弱い方はここでご遠慮いただくように。

 

何といっても、この企業は大部分の人のレーダーにまだ引っかかっていないのだ。米国の主要な株式取引所で取引されていないからだ。

 

つまり、株式自体の取引量が少ないのである。大きなポジションを確立するのは難しい。

 

ミューチュアル・ファンドで発見するのは至難の業だし、ファイナンシャルアドバイザーの推薦も皆無に等しいのはこのためだ。

 

だが決して怪しげな企業ではない。昨年、同社は60億ドル(約6,000億円)を超える売上を上げ、時価総額は300億ドルに上る。

 

私がこの企業を好きなのは、大部分の投資家がまったく気づいていないにも関わらず、議論の余地なく、ロボット技術の最高峰だからだ。

 

同社は、今後2年間で140%を超える成長が確実な状況にある。1,000%超えの勝者になるのも決して夢ではない。

 

この企業は今後5年間、あるいはそれ以降も、技術領域を席巻し、他の企業をしのぐ業績を上げる態勢が整っている。

 

それは同社が、私が「機械(マシン)の台頭」と呼ぶトレンドに乗っているからだ。

機械(マシン)の台頭

私は、人間の労働者からロボットへの移行が今後10年においてもっとも大きく、もっとも重要なトレンドになると確信している。しかも、このような移行はほぼすべての産業で起こるはずだ。

 

それはロボットのほうが、人間よりも効率性に優れているからだ。ロボットは時間やお金を節約し、命を守ることができる。

 

「「未来都市」時代のハイテク投資」のなかで、私はこの移行がどのようにして起こり、どうしたら勝者の側に立てるのかを詳細に説明した。

 

ロボティクス企業は、クオンタム・リープにおける最大の勝者の一角を占めるだろう。

 

たとえば、家を建てるケース。オーストラリアのパースでは、ロボットがたった2日間で完全な家を1軒建ててしまった。同じ家を建てるのに、もっとも仕事が早い煉瓦職人でも6週間はかかる。

 

ロボットの煉瓦工は、1時間に1,000個の煉瓦を積むことができる。1年ならほぼ150軒の家を建てられる計算だ。人間の煉瓦職人が1人でやるよりも20倍も速い。

 

ロボットの煉瓦工は、人間より速いというだけではない。現場の安全性も向上させる。建設廃材を少なくし、事業に大規模な節減をもたらしてもくれる。

 

ロボットへの引き継ぎは建設業だけでは終わらない。レストランで働く人々だって、最終的にはオートメーションにその座を取って代わられることになるだろう。

 

「ワシントン・ポスト」紙によれば、ロボットシェフはレストランで働く870万人の人々の仕事を脅かす可能性があるのだ。

 

仕事が危機にさらされるのは、ブルーカラーの労働者や中間管理職だけではない。

 

IT分野のアドバイザリ企業であるガートナー(Gartner)のアナリストNigel Rayner(ナイジェル・レイナー)は、「今日、経営幹部がやっている仕事すらも、多くが自動化されてしまうだろう」と警告している。

 

誰もが認めるように、私たちは「ウォール・ストリート・ジャーナル」が「転換点」と呼ぶ時期に差しかかっている。そこでは、ロボットが多くの人間の労働者に取って代わってしまうのだ。

 

少し考えてみよう。

 

ほんの10年前には、ロボットの国際市場は50億ドルだった。それが現在では320億ドルだ。当時から比べて600%も上昇しているのである。

 

以下に示す2つの図を見てほしい。これらの図は、私たちがその転換点にどこまで近づいているかを示している。

 

最初の図はバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが作成したものだ。2020年までにロボットが830億ドルの市場になると予想している。今後4年間で、年平均21%の成長だ。

2つ目のグラフは、国際ロボット連盟(IFR)が作成したものだ。IFRの報告書によれば、産業ロボットの累積出荷台数は2014年から2018年のあいだに87%上昇し、ほぼ300万ユニットに到達すると予想されている。

2018年には、2014年のほぼ2倍ものロボットが設置される見込みだ。これは、強力な需要があることを示す確実な徴候である。

 

だが、ここでちょっと考えてみよう。

 

今後2年間で何百万体という新規のロボットが市場に送り出されたとしても、成長のポテンシャルはやはり巨大だ。

 

つまり、みなさんも知っているように、世界の2大経済――すなわち米国と中国では、まだほとんど未開発の状態にあるからだ。

 

どうしてそんなことが分かるのだろう。

 

じつは、業界内部でロボット需要を推定するために使用されている、もう1つ別の指標があるのだ。

それは「ロボット密度」と呼ばれるもの。

 

ロボット密度は、製造業において、従業員1万人あたりの産業ロボット数を測定したものだ。

 

現在、もっとも自動化が進んでいる国は、韓国、日本、ドイツである。

 

韓国のロボット密度は、従業員1万人あたりで478体、次いで日本が314体、ドイツが292体である。

ところが、米国におけるロボット密度は、従業員1万人あたりで164体しかない。中国はさらに低く、36体にとどまっている。

 

すなわち、ドイツと同じレベルに到達するだけでも、米国はロボット密度をほぼ2倍にし、中国はその密度をほぼ800%も上げなければならないのだ。

 

この結果は、新たなロボットにまだ手つかずの需要がどれだけあるかを立証している。しかも、この数字には世界の他の地域における潜在的な需要は考慮されていない。

 

さあ、それでは、これらの需要を満たし、「機械(マシン)の台頭」から私たちに莫大な利益をもたらしてくれる企業の名前をみなさんに明かそう。