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マイナス金利と来るべき「現金戦争」

マイナス金利と来るべき「現金戦争」

By マーク・マッキンタイア

みなさんと同じように、私もたくさんのニュースレターを購読している。最近は、マイナス金利と「現金戦争」の危険に注意を呼びかける話を読んでいるところだ。そのエッセイでは、Casey Research(ケイシー・リサーチ)というニュースレター会社の論説員を務め、長年PBRG(パーム・ビーチ・リサーチ・グループ)の友人でもあるBrian Hunt(ブライアン・ハント)が、この抽象的な概念について鮮明に描写していた。

通常の世の中では、銀行はあなたの貯蓄に対して利息を支払う。銀行はあなたのお金を預かり、他の人のお金と一緒にプールし、貸し付ける。

 

銀行は、借り手からとる利息よりも少ない利息をあなたの預金に支払うことで、利益を得ている。

 

たとえば、銀行は借り手から6%の利息をとるいっぽうで、預金者へは3%の利息を支払う。銀行は何十年もこうして機能してきた。

 

マイナス金利は、あなたの“普通”の銀行口座を混乱させる。

 

残念なことに、それこそが今、私たちが直面している問題である。世界中の政治家が、銀行に対し預金者(あなた)から預金に対する手数料をとるよう要求している。

 

これは預金の悪用、資本主義の悪用、将来の計画の悪用である。

 

そして災いが起きる。

 

政治家は、あなたが銀行にお金を預けることに魅力を感じないようにすれば、銀行に預けるお金を減らすと考えている。その代わりに、スマート・フォンや車などにもっとお金を使い、株や不動産などに投資するだろうと考えているのである。

それが彼らの考えである。しかし、実際にはそうはならいとブライアンは述べている。実際は、人々は銀行から預金を引き出し、自宅の金庫やベッドのマットレスの下に保管する。それを防ぐために、世界中の政府は新たな政策をとり始めた。現金保持の制限と、現金の漸次廃止である。

もし、あなたが銀行から預金を引き出してマットレスの下に詰め込めば、あなたは政府が望むような行動をとっていないことになるね。

 

あなたはお金を使わないし、株にも投資しない。

 

これが、政府が大規模な現金取引や高額紙幣を禁じる主な理由なのだ。

 

彼らは現金と戦争をしているのである。

ところで、これは心配すべきことだろうか? もしそうだとしたら、私たちはどうするべきだろうか?

 

今日は、この件に関する私の見解を述べる。まずは現状とこれから起こり得るリスクについて考察し、それに対する私のプランをお話する。

事実の考察

まず、マイナス金利の導入は新しい出来事ではない。欧州中央銀行(ECB)は、2014年にマイナス金利を導入し、最近になってさらにそのレートを引き下げ、-0.4%とした。日本の中央銀行(日銀)は2016年1月にマイナス金利(-0.1%)を導入した。

 

このような中央銀行の金利引き下げの影響は、固定客と法人口座に徐々に浸透し始めており、スイスの銀行のなかには、預金に対し顧客に保管料を支払わせるところまで現れている。

 

投資家や預金者は代替となるものを探し、必然的に債権に群がるようになっている。しかしもちろん、それでは当座しのぎにもならないだろう。欧州では長期債券の利回りがマイナスとなり、さらには社債のなかにも利回りがマイナスになったものがある。Nestlé(ネスレ)とShell(シェル)は、会社にお金を貸す投資家から手数料をとっている。

 

ミューニックリー(ミュンヘン再保険会社)などのヨーロッパの金融・保険機関のなかには、現金を預けることで不利益を被るよりはと、現金を引き出し金庫に保管し始めたところもあるそうだ。こうした状態が続くかどうか、そしてもし続くとすれば、欧州諸国政府がそうした行為をどうやって制限したり阻止しようとするのか、興味深い。

 

実際、すでに「アンチ・キャッシュ」(現金廃止)の動きが見られるところもある。スペインは2,500ユーロ以上の現金取引を違法とし、さらにイタリアでは1,000ユーロ(2015年の2,500ユーロからダウン)を超える取引について同様の措置をとっている。ある記事によると、欧州中央銀行は500ユーロ紙幣の廃止を議論しているようだ。

 

これだけで不吉な兆候とするには十分でないとすれば、これらの国の銀行には、ATMの撤去を進めているところもあるというお話はいかがだろう。

 

その影響は明らかである。ヨーロッパの人々が現金ベースでビジネスをすることはいっそう困難になるだろう。

 

現金廃止の理由として主張されているのは、犯罪を暴き出すというものだ。そこには、ほぼ間違いなく、現金ベースでの脱税の企てに終止符を打つという、もう1つのより大きな目標がある。

これが現在、ヨーロッパとアジアで起きていることだ。だが、同じようなことが米国で起こる可能性はあるだろうか?

 

記者たちは、まさにこの問題について、FRB議長ジャネット・イエレンに尋ねた。

 

彼女は、もし人々が支出をやめるのであれば、「マイナス金利導入の可能性を排除するものではない」と述べた。私の推測では(あとで少し説明する)、人々は支出をやめはしないものの、それは十分ではないだろう。このことは、マイナス金利の導入について、イエレン議長にますますプレッシャーをかけると思う。

 

「現金戦争」については、米国はこれまでにも、ときどきその方向に向かったことがあった。将来的にもその傾向は続くだろう。

 

かつて米国では、500ドル、1,000ドル、5,000ドル、1万ドル札が出回っていたことがあったが、もはやその時代は終わった。そして今、元財務長官のラリー・サマーズは、100ドル紙幣の廃止を提唱している。

 

「現金が遺物になるのは時間の問題だ」と言う人もいるだろう。それが起こり得る理由は2つある。

 

1)税務当局と中央銀行が大いに恩恵を受ける

2)消費者にとっても利益がある

 

警告のベルを鳴らす自由論者たちは、しばしばこの2つめの事実を無視するが、これは本当のことだ。

 

デジタル取引は迅速で簡単だ。デジタル取引の記録は、会計処理を簡単にする。そして安全である。ATMがなくなったら、路上強盗は過去のものになるかもしれない。

 

そして、この動きには急速に弾みが付きつつある。デジタル取引は、MasterCardの調査によると、米国の個人消費の80%を占めている。

キャッシュレスの
マイナス金利社会はどうなる?

『DailyWealth』(デイリー・ウェルス)の編集者、Steve Sjuggerud(スティーブ・ジュガード)博士は、マイナス金利には3つの明白な波及効果があると述べている。

 

  1. 預金者と退職者はお金を失う。
     

  2. 超低金利な融資(もっともありそうなのは、ほとんど0%に近い金利)のおかげで、人々は無責任にお金を借り、負債額を押し上げる。
     

  3. 借入金が増えれば増えるほど需要に変換されるため、資産と製品の価格が高騰する。

 

現金の欠如と平行して、この3つが一度に起きると(これこそが自由主義者たちの心配していることなのだが)、財務的なプライバシーがまったく守られない状態になる。

 

今のところ、あなたは現金を使って、誰にも知られずにモノやサービスを購入することができる。ところが、現金がなくなれば、すべての商業取引は記録されることになる。

 

元下院議員のRon Paul(ロン・ポール)はこう述べている。

 

「キャッシュレス社会は内国歳入庁(IRS)の夢です。それはすべての米国民の財政に関する完全な把握と管理を意味します」

 

そして、ブライアン・ハントは、それが別の潜在的な脅威を引き起こすと述べている。

追跡可能なデジタル支払いをするように私たちをますます駆り立てることで、政府は以前よりもはるかに簡単に私たちの富を没収できるようになった。

だが、以上をすべて考慮しても、私はある1つのことに気づかざるを得ない。

 

じつのところ、私は何も心配していないのだ。本当にまったく。

 

私は投資界のアルフレッド・E・ニューマンだろうか?

 

先に進もう。

何かご心配でも?

「マイナス金利」と「現金戦争」は、現実的な懸念だ。いま実際に起きている事象から発生した心配である。想像上の未来の話ではない。

 

今から5~10年後、世の中がキャッシュレス社会になっているかどうか、100%の確証は私にはない。しかし、たとえ現金が存在するとしても、それは管理され、限られた方法でのみ存在し、私たちの経済生活のごく一部に限る存在になっているだろうとは確信している。

 

それでも、問題はないのだ。私はもうずいぶん前に、政府を出し抜こうなどという望みは諦めたので、マイナス金利、あるいは現金の終焉によって、どのようなことが起きるのかは分からない。

 

もし、政府が私のお金を没収したければ、ただちにそうできる。いくらかの現金を隠すことは何とかなるだろうが、こうした事態がどのように展開するか、多少の知識があれば、たとえ政府が現金の在りかを突き止められないとしても、現金を持ち続けることがほとんど不可能であることは分かるだろう。

 

それに対する私の最大の防御は、政府が承認しない活動からは身を遠ざけておくということ。あとは、それがうまくいくようにと願うこと。

 

何か1つ期待するとしたら、これらの政策が失敗することだ。人々に愚かなお金の使い方を奨励するのは良識に欠けることだと私は信じているので、こうした政策によってスティーブ・ジュガード博士が示唆するような事態にならないことを願う。

 

さらに、日本で何が起きたかを見れば、なぜ私が楽観的であるのか、お分かりいただけると思う。

 

日本は、最近になって支出を刺激するためにマイナス金利を導入した経済大国だ。しかし、結果はそうなっていない。日本の企業と消費者は、支出をする代わりに、必死になって貯蓄している。経済成長は横ばいだ。

 

しかし、経済はまだ動いている。日本の中央銀行がマイナス金利を課して以降、円の価値は上がった。日本銀行の期待とは反対のことが起きているようだ。

 

同様に、ヨーロッパでは国債と社債をマイナス金利で売ることで貯蓄を減らし、支出に拍車をかけようとした。しかし、バンクオブアメリカ・メリルリンチによると、「マイナス利回りの債券は、過去1年間にヨーロッパで急成長した『アセットクラス』」とのことだ。

 

つまり、ヨーロッパの人々のあいだでも、そうすることでコストがかかるとしても、いっそう貯蓄が進んでいるのである。

 

米国でも同じようなことが起きるだろうと私は予測している。マイナス金利は、期待されているような効果は生まない。預金者は貯蓄を続ける。向こう見ずな人は、低利融資を利用して愚かな決定を下すかもしれないが、もしそうなら、富はその人たちを離れ、ウォール街に向かうだろう。これまで何十年もずっとそうだったように。

 

しかし、私はそのことについてはあまり心配していない。

 

もし経済が突然しぼんだら、それは確かに私の富にも影響を与えるだろう。しかし、私はすでに損害を食い止めて(デジタル、あるいはそれ以外の方法で)現金の流入を維持するための一連の保護策を講じている。

 

その1つとして、安全な場所に保管してある金貨が相当量ある。もう1つは、収入を生む相当量の不動産ポートフォリオだ。さらに、数十の営利企業の経営権を有する持ち株会社と、地方債や大昔から持ち続けている株などのポートフォリオがある(詳細は後ほど)。

 

マイナス金利についてもう少しお話しよう。マイナス金利は、私の貯蓄、または投資の習慣を変えさせるだろうか?

 

そうなるとはとても想像できない。

 

こう言えばどうだろう。私は長い間、銀行に預けているお金から、0.5%以下の利益しか得ていない。インフレを考慮すると、すでにマイナス金利を何年も経験してきていることになる。

 

(銀行に預けているお金が百万円未満の人々も、マイナス金利を経験している。彼らは通常、年間1万円の手数料を払っている。百万円の1%が1万円であるから、つまりあなたもマイナス金利をこんなふうに経験しているのだ)

 

これが理由で、私は銀行からお金を引き出して使うだろうか?

 

もちろん、そんなことはしない。収益性の高いチャンスが訪れたときのために、私は現金を手元に置いておく。私が求めているチャンスは5~15%の収益が出るものである。わずか1%のマイナス金利のために愚かな現金の使い方をしたり、預金の大部分を引き出して裏庭に隠したりすることはない(尤も、すでに述べたとおり、私はすでに具体的に持ち運びができる資産をいくつか、緊急時の保険として保有している)。

 

かつては、銀行に現金を預けることで3~5%(あるいはそれ以上の)利益が出せた時代もあった。それは素晴らしい時代だった。今、そんな素晴らしい時代は過ぎ去ったが、それでも私たちは高い収益を求める必要がある。

 

今、もしも誰かが現金に対し10%の手数料をとり始めたら、そのときはもう少し考える。しかし現在、専門家が予測している最悪の数字は、1%の何分の1というわずかなものだ。そして、私はこうも考えている。米国がそうした事態に陥るのは、とてつもなく恐ろしいことがいくつも起きてからだろうと。

 

「現金戦争」と呼ばれるものに対しても、同じことが言える。

 

次のことを知っておいてほしい。政府はあらゆるものを完全に把握し、管理することを望んでいる。あなたの銀行口座にあるすべてのお金、あなたが使うお金の1円単位まで。これについては疑いの余地はない。そしてこれは概してよいことではない。私もそう思う。

 

しかし、これまで述べたとおり、私たちをキャッシュレス社会に向かわせている主体は、政府ではない。私たち自身なのだ。消費者が電子マネーを好むのは、簡単で、扱いやすく、安全だからだ。電子マネーへの移行は避けられない。これは人々が利便性を好むがゆえの、マーケット主導の変革である。

 

たしかに、政府はすべての脱税を排除しようとしている。もしあなたが脱税をしているなら、富を増やすためによりよい方法を見つけなければならない。

 

犯罪との戦いにおいて、現金の排除は役に立つ。もしあなたが犯罪者で、お金を秘密の場所に隠しているとしたら、別の仕事を見つけなければならないだろう。

 

いろいろ述べてきたが、私自身も確かに少しは心配なことがある。

 

とくに恐れているのは、電子マネーの世界であれば、政府は(いくつかの法令を制定することで)私の銀行口座を差し押さえ、私の明確な合意なしに課税することが可能になるということだ。

 

たとえば、もし米国の内国歳入庁(IRS)が書類や申請を廃止し、銀行口座を通じて単に電子マネーレベルで税金を課すとしたら、それを防ぐ術は私たちにはない。私たちにはどうすることもできないだろう。

 

これは実際、起こり得ることである。

 

私が恐れているもう1つのことは、高度化したコンピュータ詐欺の増加だ。ハッカーによる詐欺や、瞬時に取引をおこなう会社のコンピュータ詐欺に対しては、なす術がない。

 

もしこれまでに、コムキャストやタイム・ワーナーなどのケーブルTV会社と闘ったことがあれば、ここで私が述べているのがどういうことか、もうお分かりだろう。

 

あなたが細かい字で書かれた何かを見落として契約に署名してしまったら、彼らはあなたへの請求金額を途方もなく吊り上げる。支払い方法は自動振替になっているので、あなたがその問題に気づくのは何か月も後になってからだ。そして払い戻しを受けるには、電話の自動音声案内システムをなんとか操作しなければならない。“もし”払い戻しを受けられれば、の話だが。

 

あるいは、信頼していた秘書やブローカーが突然姿を消し、口座をチェックしてみたら残高がゼロだったというのはどうだろう? 銀行に電話をかけても、彼らはただ「申し訳ありませんが、私たちはその件に関してどうすることもできません」と告げるだけ……。

 

あなたのお金がすべて電子形態で保管されていれば、賢い泥棒にとって、盗むのはより簡単になるだろう。将来、実際に何が起こるかは分からないが、ある程度のレベルでは心配は尽きない。

 

自動課税になっただけでも恐ろしいのに、それを利用して私からお金を奪う新しい方法を企てている卑劣な犯罪者があらわれたら……。

 

それでも、不真面目に聞こえたら申し訳ないが、私は構わない。

 

もしも政府が私の口座に手を付けて、まず1%の自動課金から始めて少しずつ上げていくとする。そうしたら、私にはそれを制御することはできない。私は政治家ではない。街頭に立つつもりもない。私の仕事は、私と私の家族を守ること。それが私の哲学だ。

 

私の個人的な目標は、「Creating Wealth」(富の創造)。このフランチャイズ全体に、1人、また1人と裕福な人を増やしていき、社会全体をより裕福にすることだ。そしてこのような新しい自動課税に対しても、所得税源泉徴収に対処したときと同じように、徐々に順応していくだけなのだ。

 

ポイントはこうだ。今のところ、私は自動課税については心配していない。もしそうなったら支払う。お金の大部分を地中に隠して、非生産的なものにしてしまうことだけはしない。

 

ただし、今は現金で、のちにはそれが金(gold)になるかもしれないが、ある程度の保険となる額は持っておくべきだと考える。そしてそれは隠しておくべきである。その保険は、私が抱いているもう1つの不安、つまりハッカーや詐欺師による口座の乗っ取りからあなたを守ってくれるだろう。

 

誤解のないように申し上げると、あなたもマイナス金利や「現金戦争」について心配する必要はない。私のアドバイスと投資哲学に従えば、ハルマゲドンが起こる前に「脆弱ではない」状態になるのに十分な労働収入を得ているはずである。

 

これで私の立ち位置がお分かりになったことだろう。ただし、これらの問題が人々にまったく影響を与えないということではない。

誰のために鐘は鳴るのか

私は、マイナス金利と「現金戦争」の組み合わせは、2つのグループの人々に損害を与えると確信している。大規模な機関投資家と、受動的な所得に依存する退職者グループである。

 

現在、米国政府は銀行に対し、いくらかのお金を中央銀行に預けるように要求している。銀行は緊急事態に備えて、自分たちのお金のいくらかを確保しておかなければならないということだ。「連邦準備制度」という名前はそこから来ている。だが、リーマンショック以降、必要量を超えて連邦準備制度(Fed)に保管されている資金については、大手銀行は利息を得ることができる。

 

私がこれを書いている時点で、2兆5000億ドルの余剰資金があり、それには最近引き上げられた0.5%の金利がついている。つまり、米国の納税者は、銀行に対し毎年125億ドルの補助金を出しているということになる。

 

もし、その金利が下がったりマイナスになった場合は、金融機関はよりリスクの高い投資をするか、あるいは消費者にコストを転嫁するか、他の収入源を探し求めるだろう。

 

前述したように、消費者レベルでの「バトンタッチ」は、あなたの銀行口座に対する少額の追加手数料という形で来るかもしれない。しかし私に分かる範囲では、それはあなたがドル札を出し続けるということではない(現時点で私がその点について心配しない主な理由は、数値がとても小さいからである)。

 

それよりはるかに心配なのは、わずかな固定収入に頼っている平均的な退職者がどうなるか? ということだ。貯蓄から通常の利益を得ることができないため、退職者はもっと収益が欲しいという希望をかなえるために、リスクの高い選択を余儀なくされる。

 

私はこれまで幾度となく、人々がこの明るく輝く光を追いかけて、暗い路地に入り込んだ結果を見てきた。それは多くの場合、悲嘆と甚大な損失に終わる。一番最初は、約35年前、初めて投資顧問業界に入ったときだ。そして今もなお目にする。

 

それこそが、私がずいぶん昔に、金融業界の特売場全体を避けるという意識的決断をした理由である。

 

私は自分の富を築く戦略を、主に株式市場の外側で展開してきた。富を多様化し、あらゆるマイナス面を防ぐために、ストップロス対策を導入した。そして、金融メディアの派手な見出しには目隠しをして無視した。

 

マイナス金利と「現金戦争」にまつわるすべての喧騒を考えると、これは今日でも変わらない私の戦略になると言える。

 

私が富を築く計画のなかで、そのような喧噪はまったく重要ではない。どれだけ言っても足りないが、追加のコストは取るに足らないものだ。私のメルマガの長年の読者なら知っているように、私たちは憶測にはまり込んで、人生のための貯蓄をリスクにさらすことは決して考えない。もちろん、その貯蓄をマットレスの下に隠すこともしない。

 

私たちはつねに安全な収入を求めて探し回っている。5~25%、願わくば平均8~15%の収益が希望である。0.5%のために、そこかしこで何かを変える必要はないのだ。

 

そしてこれが、結局はなぜ私が最近のマイナスの経済の動揺について心配していないかの理由でもある。なぜなら、安全な収入にのみ焦点を当てた場合、それは主流の金融複合体からは大きくかけ離れた収入であり、実質的にはあらゆる方向から流れ込んでくるものなので、何も心配することがないからだ。

希望の兆し

長年の読者は、私の富を築く哲学が、いくつかの理念に基づいていることを知っている。

 

1つは、収入重視であること。株、債権、事業、不動産など、投資しているものが何であっても、私たちは本来、収入に対して投資しているのである。

 

すでに発生している収入を購入するということは、「将来、もしかすると何がしかの利益を生むかも(あるいは生まないかも)しれないモノに投資する」投機とは正反対の行為である。賃貸不動産、有配株、債権のような債務証書(ただし、今日の環境ではそれほど多くない)、プットオプションの販売、現在進行中の事業などのように、コックをひねってすぐに出せるような手近な収入の流れは、そこにはない。

 

その観点から見ると、現在のマイナス金利の考え方は、私たちを思いとどまらせることはできないだろうが、気分を奮い立たせることはできる。結局のところ、それは私たちが賢く投資できる低金利資本を手に入れるチャンスなのだ。これはポジティブなことであって、ネガティブなことではない。

 

ときに、マイナス金利による債務のサイクルについて耳にすることがあるだろう。金利が反転し、銀行があなたのお金を「借りる」ために、あなたが銀行に手数料を支払わなければならないとしたら、反対の側面があることも事実である。ほんのわずかなマージンと、どんどん高くなるリスクに甘んじている銀行は、あなたに低金利のローンを勧めたがっている。

 

あなたが受け取る貸付金は、マイナス金利になることはない。そんなことは絶対に起こらない。銀行はつねに自分たちに好都合になるよう物事を斜めに進める。むしろ銀行は、借りたお金に対し0%に近い金利を設定する可能性が高い。

 

これは危険な消費動向に走りがちな人々にとっては危ういことだ。しかし、本物の「富を築く人」にとっては素晴らしいことである。

 

スティーブ・ジュガード博士が指摘しているように、銀行へのマイナス金利(および、それに関連付けられている消費者向けの低金利ローンや低金利住宅ローン)は、賃貸不動産の投資家や住宅ローンの借り換えを考えている人にとってはよいことである。

 

さらに、Tom Dyson(トム・ダイソン)が証言しているように、マイナス利回りは貯金の大きな抑止力になるので、もしこれらのことが全部起こると、貴金属業界と不動産業界は大いに好況となる。

 

いっぽう、あなたがもし私のようなタイプの投資家、つまり収入重視の投資家であれば、リスクを嫌うはずだ(それが「哲学の柱2」である)。低利融資を借りたとしても、方針転換してそれを賭け事に使ってしまうことはない。

 

それよりも、私のようにやってみてほしい。私は安全で、しかも収入を生む投資の機会に出会ったときのために、かなりの資金を準備している。まさに今月、私は低利融資を受けられるからという理由で、8~12%の安全な利益をもたらす12戸からなる物件の不動産取引を始めたところである。

 

私の純資産は、経済的メルトダウンにあっても、年ごとに成長してきた。それは、私が使う手段がすべて現在進行中で、実証済みの現金を生むものだからである。事実上、多数の異なるソースから現金の流入がある場合は、グローバル経済全体、および金融の小刻みな動きから発生する、いかなるマイナスの影響も排除される。

 

私は資産の多様化と保護のために厳格なルールを採用した。それは、1つのアセットクラスで何らかの損失があったとしても、他のいくつかの利益によってすっかり洗い流されるということだ。

 

私は経済学者ではないが、裕福になるために経済学の学位を持つ必要はない。あなたがすべきことは、懸命に働き、災害に備えて保険に入り、安全で収入を生む資産のポートフォリオを購入して、自分のお金を賢く投資すること。

 

それが、私のやろうとしていることだ。あなたはどうするだろう?